2025.6.3
西郷札
西郷札(松本清張デビュー作) ドラマ
緒形直人・仙道敦子(後に結婚)初共演 純愛物語

踏みにじられた純愛が時代を超えて甦る・松本清張のデビュー作を初めて映像化した「西郷札(さつ)」。緒形直人23歳・仙道敦子21歳(後に結婚)、若い二人が演じる、西郷札という古い紙幣にまつわる純愛物語。西南戦争という時代の波にのまれ、互いに思いを寄せながらも義兄妹は生き別れとなる。久しぶりに再会する二人だが、歴史の大きな波にもて遊ばれながら運命や権力に屈することなく激しい愛の世界に身を投じていく。ご夫婦となった緒形、仙道の初共演作にして息のあった演技には思わず納得!!
西郷札とは
西郷札(さいごうさつ)は、西南戦争中に西郷隆盛率いる西郷軍(薩軍)が軍費調達のために発行した軍用紙幣。日本で初めての軍用手票(軍票)として紹介されることもあるが、反政府軍が発行した紙幣であり厳密には軍票でないという指摘もある。

1877年(明治10年)に勃発した西南戦争の西郷軍(薩軍)側の戦費は不明確であるが、当時の金額で70万円とも100万円とも言われている。戦費調達のため、初期の段階では大山綱良が官金15万円を用意するとともに、承恵社や撫育社などの士族商社が発行した証券(承恵社札)を富商に売却して6万円を調達したほか、警察費として住民から納金させることで賄った。承恵社札は五円・一円・半円の三種があったとされるが、承恵社札の五円券は現存が確認されておらず、一円・半円の二種のみ現存が確認されている。
しかし、戦費不足が深刻化したため、桐野利秋らの発案により紙幣を発行することとなった。西郷札の発行期間は1877年7月7日から同31日にかけてで総発行高は17万円とされる。
薩摩軍の紙幣は戦況悪化とともに信用が低下した。そのため宮崎地方などでは脅迫によって通用させた例もみられた。
西南戦争後は明治政府により使用は厳禁とされた。市中に出回った西郷札に対する補償は行われなかったため、特に西南戦争で戦場となった地域では経済が大混乱に陥った。なお「承恵社札」は翌1878年(明治11年)6月に発行元の両社と貸主との示談が成立して償還された。
松本清張作ドラマ「西郷札」
【ストーリー】
九州日日新聞社に勤める卓次「私」は、宮崎支社から「覚書」と題する文書のコピーを受取る。西南戦争中、西郷隆盛によって発行された貨幣「西郷札」をめぐる悲恋を綴ったその覚書の原本は、佐土原の田中家に所蔵されている物だが、何故か最後の頁が破り取られていた。卓次は、覚書を書いた下級武士・雄吾(緒形直人)に思いを馳せる。

宮崎県佐土原に生まれた雄吾(ゆうご)は、幼い頃母を亡くす。父・喜右衛門は後妻・さいを娶るが、その連れ子・季乃(すえの・仙道敦子)と雄吾にほのかな恋が芽生える。

その頃、鹿児島では西南戦争が勃発。西郷隆盛率いる薩摩軍に加わった雄吾は、西郷札発行に携わるが、やがて敗戦。負傷した雄吾は、親切な庄屋の甚平に助けられ一命を取り留める。
しかし、全快して郷里に戻った時には父は既に亡く、家も焼け、さいと季乃は行方知れずになっていた。

全てを無くした雄吾は、東京に出て、車夫として生活し始める。そんなある日、雄吾は高級官員の屋敷内で偶然、季乃と再会する。

雄吾が西南戦争で発行に関わった西郷札を政府に買い取らせ一儲けしようとうい話が、世話になった卯之助を通じて雄吾にもたらされる。雄吾は季乃の夫、塚村圭太郎が政府の高級官僚で、力になるかと考え相談に行く。

雄吾と季乃が恋仲にあることを知った圭太郎は、雄吾に政府の西郷札買取が実現しそうだという誤報を吹き込み雄吾を破滅させようとする。雄吾の情報で一儲けを考える粂太郎は、全財産を投じ宮崎、鹿児島に眠る西郷札を買いまくる。

風評により西郷札が高騰しあっという間に資金が尽きる。雄吾は一段落し東京に戻る。新聞に根拠のない西郷札買取のデマを流し詐欺行為を働いていると、雄吾の名前が新聞に載る。雄吾はこれからとる手段として三つを考える。
一、季乃の言う通り逃げる。
二、官憲に自首し理非をただす。
三、最後の策
「覚書」ここで終わっている。
最後の策とは。覚書を文章にした「私」は、原文はもっと長いものだったと想像する。最後は破り取られた痕跡がある。
破られた部分は想像できる。だが私は一日中図書館にこもって調べたが分からなかった。
当時の太政官権少書記と言えば矢野文雄、犬養毅、尾崎行雄、中川上彦次郎、小野梓などのクラスである。あれほど俊英とされた塚原圭太郎の名が世に残らなかったのはなぜであろうか?
ここで史実と小説が混在してしまう。
私は図書館でこんな新聞記事を目にすることになる。
「日向通信(明治12年12月興論新誌)薩賊の製造せし紙幣に特別の訳を以て政府に於て御引換可相成旨道路の風説」
道路の風説とは?
「西郷札」の買占めに狂奔している二人の人間が眼に浮かぶ。と私は結んでいる。
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緒形直人・仙道敦子(後に結婚)初共演 純愛物語

踏みにじられた純愛が時代を超えて甦る・松本清張のデビュー作を初めて映像化した「西郷札(さつ)」。緒形直人23歳・仙道敦子21歳(後に結婚)、若い二人が演じる、西郷札という古い紙幣にまつわる純愛物語。西南戦争という時代の波にのまれ、互いに思いを寄せながらも義兄妹は生き別れとなる。久しぶりに再会する二人だが、歴史の大きな波にもて遊ばれながら運命や権力に屈することなく激しい愛の世界に身を投じていく。ご夫婦となった緒形、仙道の初共演作にして息のあった演技には思わず納得!!
西郷札とは
西郷札(さいごうさつ)は、西南戦争中に西郷隆盛率いる西郷軍(薩軍)が軍費調達のために発行した軍用紙幣。日本で初めての軍用手票(軍票)として紹介されることもあるが、反政府軍が発行した紙幣であり厳密には軍票でないという指摘もある。

1877年(明治10年)に勃発した西南戦争の西郷軍(薩軍)側の戦費は不明確であるが、当時の金額で70万円とも100万円とも言われている。戦費調達のため、初期の段階では大山綱良が官金15万円を用意するとともに、承恵社や撫育社などの士族商社が発行した証券(承恵社札)を富商に売却して6万円を調達したほか、警察費として住民から納金させることで賄った。承恵社札は五円・一円・半円の三種があったとされるが、承恵社札の五円券は現存が確認されておらず、一円・半円の二種のみ現存が確認されている。
しかし、戦費不足が深刻化したため、桐野利秋らの発案により紙幣を発行することとなった。西郷札の発行期間は1877年7月7日から同31日にかけてで総発行高は17万円とされる。
薩摩軍の紙幣は戦況悪化とともに信用が低下した。そのため宮崎地方などでは脅迫によって通用させた例もみられた。
西南戦争後は明治政府により使用は厳禁とされた。市中に出回った西郷札に対する補償は行われなかったため、特に西南戦争で戦場となった地域では経済が大混乱に陥った。なお「承恵社札」は翌1878年(明治11年)6月に発行元の両社と貸主との示談が成立して償還された。
松本清張作ドラマ「西郷札」
【ストーリー】
九州日日新聞社に勤める卓次「私」は、宮崎支社から「覚書」と題する文書のコピーを受取る。西南戦争中、西郷隆盛によって発行された貨幣「西郷札」をめぐる悲恋を綴ったその覚書の原本は、佐土原の田中家に所蔵されている物だが、何故か最後の頁が破り取られていた。卓次は、覚書を書いた下級武士・雄吾(緒形直人)に思いを馳せる。

宮崎県佐土原に生まれた雄吾(ゆうご)は、幼い頃母を亡くす。父・喜右衛門は後妻・さいを娶るが、その連れ子・季乃(すえの・仙道敦子)と雄吾にほのかな恋が芽生える。

その頃、鹿児島では西南戦争が勃発。西郷隆盛率いる薩摩軍に加わった雄吾は、西郷札発行に携わるが、やがて敗戦。負傷した雄吾は、親切な庄屋の甚平に助けられ一命を取り留める。
しかし、全快して郷里に戻った時には父は既に亡く、家も焼け、さいと季乃は行方知れずになっていた。

全てを無くした雄吾は、東京に出て、車夫として生活し始める。そんなある日、雄吾は高級官員の屋敷内で偶然、季乃と再会する。

雄吾が西南戦争で発行に関わった西郷札を政府に買い取らせ一儲けしようとうい話が、世話になった卯之助を通じて雄吾にもたらされる。雄吾は季乃の夫、塚村圭太郎が政府の高級官僚で、力になるかと考え相談に行く。

雄吾と季乃が恋仲にあることを知った圭太郎は、雄吾に政府の西郷札買取が実現しそうだという誤報を吹き込み雄吾を破滅させようとする。雄吾の情報で一儲けを考える粂太郎は、全財産を投じ宮崎、鹿児島に眠る西郷札を買いまくる。

風評により西郷札が高騰しあっという間に資金が尽きる。雄吾は一段落し東京に戻る。新聞に根拠のない西郷札買取のデマを流し詐欺行為を働いていると、雄吾の名前が新聞に載る。雄吾はこれからとる手段として三つを考える。
一、季乃の言う通り逃げる。
二、官憲に自首し理非をただす。
三、最後の策
「覚書」ここで終わっている。
最後の策とは。覚書を文章にした「私」は、原文はもっと長いものだったと想像する。最後は破り取られた痕跡がある。
破られた部分は想像できる。だが私は一日中図書館にこもって調べたが分からなかった。
当時の太政官権少書記と言えば矢野文雄、犬養毅、尾崎行雄、中川上彦次郎、小野梓などのクラスである。あれほど俊英とされた塚原圭太郎の名が世に残らなかったのはなぜであろうか?
ここで史実と小説が混在してしまう。
私は図書館でこんな新聞記事を目にすることになる。
「日向通信(明治12年12月興論新誌)薩賊の製造せし紙幣に特別の訳を以て政府に於て御引換可相成旨道路の風説」
道路の風説とは?
「西郷札」の買占めに狂奔している二人の人間が眼に浮かぶ。と私は結んでいる。

