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危機感で人は動かない


危機感を煽るのが二流のリーダー。夢を語るのが一流のリーダー


危機感の共有は、責任の押しつけにすぎない
「給与を減らして社員に危機感を持たせる!」

たまにこう話す経営者がいます。私は、こういう経営者がもっとも失敗するタイプだと思っています。そうした経営者は、社員にこう言っているに違いありません。

「業界全体が危機的状況だ。いまふんばらないとうちの会社は危ないぞ!」

管理職でも同じようなことを言う人がいます。

「一人ひとりが危機感を持って、意識を変えなければ、うちの部署はそのうちつぶされるぞ!」

いずれも社員や部下を叱咤し、危機感をあおることで奮起させようという狙いです。

しかし危機感を共有しようと檄を飛ばす社長や上司を見て、社員や部下はきっと内心こう思っています。「こんな危機的状況になっているのは、あなたのせいでしょう……」。

会社における経営者や管理職の役割は、組織を正しい方向に向かわせることです。だからこそ経営者や管理職には、一般社員とは違う裁量と権限が与えられているのです。給与も違います。

では、その組織が危機的状況を迎えているのは誰の責任でしょう?

それは権限を持ち、方向づけをした「リーダーの責任」であることは明白です。一番は社長です。

にもかかわらず、危機感を共有しようとするのは、部下や社員にその責任を押しつけようとしているだけではないでしょうか。少なくとも、私の目にはそう映ります。

会社の最前線で働いているのは、他ならぬ現場の社員たちです。その社員が危機感を抱いてしまったら、実力も出ず、接するお客さまにも必ずその不安は伝わります。

「俺の会社はもうギリギリだ。危機らしい」

そんな心持ちで仕事をしている人間と取引したい、そんな人間のつくった商品を買いたいなどと思う人はいないでしょう。「そんなジリ貧の会社の商品、大丈夫か?」「必死になって売りつけようとしている気がする……なんだかいやだ」と思われるのが関の山です。幹部と危機感を共有するならまだ許せます。それだけの給与を取っているわけですから。しかし、社員と危機感を共有しても、よりいっそう危機を深刻化させるだけなのです。

また、むやみに危機感をあおると、他社でも活躍できる有能な社員から会社を離れていきます。尻を叩かれながら働くことを好む人間はいません。「この会社はダメだ。給料も削られそうだし、早いうちに別の会社に移っておこう」と考えるのは当然です。

自社の現状を厳しく認識し、危機感をトップ自身が抱くのは正しいことです。また役員くらいまでの人間がそういった事態を共有し、打開策を必死で考えるのは一向にかまいません。むしろ絶対にやらなければいけないことです。

しかし、現場にいる部下のすみずみにまでそれを伝え、危機感によって人を動かそうとしてはいけません。ましてやそのために、給与を減らすなどとんでもないことです。それならば、まず経営者自身の給与を大幅に減らすのです。

リーダーが部下に語るべきは3つのこと
小宮一慶リーダーがメンバーと共有すべきなのは、「理念」「現場」、そして「夢」です。

まず「理念」とは、あらゆる仕事に向かうとき、どのように行動すべきかを指し示した行動規範のことです。「公明正大」「社会に貢献する」「お客さま第一」。こうして掲げられた理念が社員の間に浸透していれば、社員一人ひとりがそれぞれの持ち場で、個人で判断しなければならないときに、どんな行動をすべきか自分で判断できます。

ただ、行動規範はいつでもすぐに行動できるくらいに体に染みつかないと本物ではありません。車を運転していてとっさの時にブレーキを踏むようにです。目の前の行動が、掲げてある理念にそって自然に行われるところまで浸透する必要があります。

リーダーはそのためには、理念を語るのみならず、理念に基づいて指揮官先頭でまず自ら行動するとともに、「それはこうすべきだ」「それはこう判断したほうがいい」と常に理念に基づいたアドバイスをすべきです。

そして、リーダーは「現場」も語れなければなりません。

あなたの会社が関わっている商品、サービスの売り場、製造の現場、あるいは管理部門など現場は多岐に渡ります。その中でのお客さまの反応、接客の様子、環境整備、電話の応対など、細部を具体的に見ることが大切です。漠然と見ていては何も見えません。

「お客さまが使いにくそう」「あいさつの声が小さい」「看板が汚れている」……神々は細部に宿るではないですが、現場こそがすべてを語っているのです。

最後は「夢」です。

前の2つは、とても厳しい側面を持っています。仕事とはそういう厳しいものですが、厳しさだけでは人はついてきません。人を長期的に動かし続ける原動力は「夢」です。

ここでいう「夢」とは、1つは、会社の仕事を通して、お客さまや働く仲間に喜んでもらいながら、社会に対して自分たちはどんな貢献をできるか、という夢です。上場するなど会社全体の夢もあります。もちろん、個人としての仕事や経済的な夢もあります。

つまり、「今までになかった革新的な製品を世に出し、それによって世界から貧困をなくそう」という高尚なものから「しっかり働いて、家族で快適に暮らせる家を建てよう」という身近なものまで、「夢」とひと口に言ってもいろいろあるのです。

そして、こういった「夢」は、働く原動力になります。自分が会社で働くことが、社会の役に立つ、家族や自分のためになる。それはそのまま、仕事の喜びと直結するからです。

リーダーが語りメンバーと共有すべきは、夢、理念、現場。危機感をリーダーがあおるのは愚の骨頂。なぜなら、危機を回避し、乗り切ることこそがリーダーの仕事だからです。
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