2025.8.17
高い城の男
1945年8月15日、連合国に対し枢軸国として最後まで戦っていた日本は降伏し第二次世界大戦は終わりました。
もし枢軸国が勝利していたら、今の世界はどうなっていたか。
『高い城の男』(The Man in the High Castle)は、アメリカのSF作家フィリップ・K・ディックの歴史改変SF小説。第二次世界大戦で枢軸国が勝利し、アメリカが東西に分断されている世界を舞台としている。1962年に発表され、1963年のヒューゴー賞 長編小説部門を受賞した。
2015年ドラマ化が発表され、同年11月からAmazonビデオにおいてドラマ『高い城の男』の配信が開始された。
高い城の男
The Man in the High Castle

第二次世界大戦が枢軸国の勝利に終わり、大日本帝国とナチス・ドイツによって分割占領されている旧アメリカ合衆国領を舞台にした人間群像劇。
歴史改変SFでは珍しくない設定だが、作品内世界で「もしも連合国が枢軸国に勝利していたら」という歴史改変小説が流行しているという点と、東洋の占術が同じく流行していて、複数の人物が易経を指針として行動するという部分が独創的である。
ディック自身も、本作のプロットを作る際に易経を利用している。後半になるにつれてディック特有の形而上学・哲学的な思索やメタフィクションが展開される一方、ディック作品にありがちなプロットの破綻が生じていない。そうした点からアメリカやイギリスなど英語圏ではディック作品の代表作として挙げられることも多い。
作中の枢軸国の描写に関してはそれぞれに違いがある。日本人は勝者として傲慢な部分もあるものの、人種政策でドイツと対立するなどある程度は話が通じる人間的な集団として描かれている。
逆にドイツ人は反ナチ派が軒並み粛清されており、ナチズムの狂気に満ちた集団として描かれている。
イタリア人は表面的には日独と並んで戦勝国として扱われているが実態としてはドイツの衛星国であり、その劣等感からアメリカ人に同情する描写が描かれている。
また作品中に登場する歴史改変小説は、現実の第二次世界大戦とも異なった形で連合国が勝利する内容になっている。
赤は日本領(日本が世界の約半分を支配)

ストーリー
1947年、第二次世界大戦は枢軸国の勝利に終わり、アメリカ合衆国は戦勝国であるドイツと日本によって三つの国に分断され、両国の分割統治下に置かれていた。
それから15年後の1962年、アメリカ人の間では謎の人物「高い城の男」によって執筆された『イナゴ身重く横たわる』という、「連合国が第二次世界大戦に勝利していたら」という仮想小説が流行していた。
『イナゴ身重く横たわる』はドイツが支配するアメリカ合衆国およびヨーロッパでは発禁本に指定され、「高い城の男」は保安警察に命を狙われていた。
日本が支配するアメリカ太平洋岸連邦のサンフランシスコにあるアメリカ美術工芸品商会を経営する美術商ロバート・チルダンは、上得意先である田上信輔に、頼まれていた品物の手配が遅れていることを叱責され、代わりの品物を届けるために田上がいる通商代表部に向かう。
一方、勤め先の工場をクビになったフランク・フリンクは、これからの指針を求めて易経に勤しんでいた。田上もまた、「取引相手である実業家バイネスの正体を探れ」という日本政府からの指令に悩み易経を頼みとしていた。

日本の影響下にあるロッキー山脈連邦のキャノン・シティに暮らすジュリアナ・フリンクは、合衆国から仕事でやって来たイタリア移民のジョー・チナデーラと出会い、成り行きで一夜を共にする。
ジュリアナは、ジョーが持っていた『イナゴ身重く横たわる』に興味を持ち、「高い城の男」が住むシャイアンに共に行くことになる。その頃チルダンは、日本海軍の春沢提督の使者と名乗る男から「あなたが扱っている美術品は模造品だ」と告げられ面目を失い、取引相手であるキャルヴィンを問い詰める。
一方で地元の新聞社に問い合わせた結果、提督の乗艦であると聞かされていた航空母艦翔鶴は戦時中にアメリカ軍の潜水艦によって沈められており、春沢提督なる人物も存在しないことが判明する。春沢提督の使者を騙る者の正体はフランクであり、友人のマッカーシーと組み、元上司で模造品の元締めのウインダム=マトスンから退職金を巻き上げる。
同じ頃、ドイツでは最高指導者のボルマン首相が死去したことでナチ党内部の権力闘争が激化し、アメリカにも影響が及び始める。

一方、フランクとマッカーシーは、ウインダム=マトスンから巻き上げた退職金でエドフランク宝飾工房を起業し、自身の腕を活かした装身具を作り、その装身具をチルダンに売り付けようとするが、チルダンに言い包められ委託取引にされてしまう。
装身具を手にしたチルダンは、それまで扱ってきた過去の遺物である骨董品とは違うアメリカの「未来」の姿を感じ、アメリカ人としての自信を取り戻す。
その頃、日本軍の手崎将軍から連絡を受けた田上は、バイネスをオフィスに呼び三者会談を行う。会談の中で、バイネスは自分がドイツ国防軍情報部のヴェゲナー大尉であることを明かし、ボルマン政権と、その後を継いだゲッベルス政権が対日核攻撃作戦「タンポポ(レーヴェンツァーン)作戦」を計画していることを語り、計画を阻止するため作戦反対派のハイドリヒに助力して欲しいと告げる。
その時、バイネスの正体を掴んだ保安警察のメーレ将軍が送り込んだ工作員が現れ銃撃戦となるが、田上が工作員を射殺し事態を収束させる。手崎将軍は対応を協議するため日本に帰国し、任務を果たしたヴェゲナー大尉もドイツに帰国する。
ゴールデンブリッジを通過する「戦艦ヤマト」

「高い城の男」に会うための旅を続けていたジュリアナとジョーはデンヴァーに到着する。しかし、そこでジュリアナは、ジョーの正体が「高い城の男」暗殺のため派遣されたナチスの工作員だと気付き、ジョーを殺害しホテルを後にする。途方に暮れたジュリアナは易経を行い、その啓示に従い、「高い城の男」に命が狙われていることを知らせるためにシャイアンに向かう。
翌日、「高い城の男」ことホーソーン・アベンゼンの邸宅に到着したジュリアナは、ナチスの工作員が迫っていることを告げると同時に、何故『イナゴ身重く横たわる』を執筆したのかを尋ねる。ジュリアナの問いに対し、アベンゼンは「易経との契約に基づき書いた」と告白する。
ジュリアナは、何故易経が『イナゴ身重く横たわる』を書かせたのかを知るため易経を行い、「真理」の答えを得る。ジュリアナは、『イナゴ身重く横たわる』の世界こそが真実の世界であると知り、アベンゼンに礼を言い邸宅を後にした。
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もし枢軸国が勝利していたら、今の世界はどうなっていたか。
『高い城の男』(The Man in the High Castle)は、アメリカのSF作家フィリップ・K・ディックの歴史改変SF小説。第二次世界大戦で枢軸国が勝利し、アメリカが東西に分断されている世界を舞台としている。1962年に発表され、1963年のヒューゴー賞 長編小説部門を受賞した。
2015年ドラマ化が発表され、同年11月からAmazonビデオにおいてドラマ『高い城の男』の配信が開始された。
高い城の男
The Man in the High Castle

第二次世界大戦が枢軸国の勝利に終わり、大日本帝国とナチス・ドイツによって分割占領されている旧アメリカ合衆国領を舞台にした人間群像劇。
歴史改変SFでは珍しくない設定だが、作品内世界で「もしも連合国が枢軸国に勝利していたら」という歴史改変小説が流行しているという点と、東洋の占術が同じく流行していて、複数の人物が易経を指針として行動するという部分が独創的である。
ディック自身も、本作のプロットを作る際に易経を利用している。後半になるにつれてディック特有の形而上学・哲学的な思索やメタフィクションが展開される一方、ディック作品にありがちなプロットの破綻が生じていない。そうした点からアメリカやイギリスなど英語圏ではディック作品の代表作として挙げられることも多い。
作中の枢軸国の描写に関してはそれぞれに違いがある。日本人は勝者として傲慢な部分もあるものの、人種政策でドイツと対立するなどある程度は話が通じる人間的な集団として描かれている。
逆にドイツ人は反ナチ派が軒並み粛清されており、ナチズムの狂気に満ちた集団として描かれている。
イタリア人は表面的には日独と並んで戦勝国として扱われているが実態としてはドイツの衛星国であり、その劣等感からアメリカ人に同情する描写が描かれている。
また作品中に登場する歴史改変小説は、現実の第二次世界大戦とも異なった形で連合国が勝利する内容になっている。
赤は日本領(日本が世界の約半分を支配)

ストーリー
1947年、第二次世界大戦は枢軸国の勝利に終わり、アメリカ合衆国は戦勝国であるドイツと日本によって三つの国に分断され、両国の分割統治下に置かれていた。
それから15年後の1962年、アメリカ人の間では謎の人物「高い城の男」によって執筆された『イナゴ身重く横たわる』という、「連合国が第二次世界大戦に勝利していたら」という仮想小説が流行していた。
『イナゴ身重く横たわる』はドイツが支配するアメリカ合衆国およびヨーロッパでは発禁本に指定され、「高い城の男」は保安警察に命を狙われていた。
日本が支配するアメリカ太平洋岸連邦のサンフランシスコにあるアメリカ美術工芸品商会を経営する美術商ロバート・チルダンは、上得意先である田上信輔に、頼まれていた品物の手配が遅れていることを叱責され、代わりの品物を届けるために田上がいる通商代表部に向かう。
一方、勤め先の工場をクビになったフランク・フリンクは、これからの指針を求めて易経に勤しんでいた。田上もまた、「取引相手である実業家バイネスの正体を探れ」という日本政府からの指令に悩み易経を頼みとしていた。

日本の影響下にあるロッキー山脈連邦のキャノン・シティに暮らすジュリアナ・フリンクは、合衆国から仕事でやって来たイタリア移民のジョー・チナデーラと出会い、成り行きで一夜を共にする。
ジュリアナは、ジョーが持っていた『イナゴ身重く横たわる』に興味を持ち、「高い城の男」が住むシャイアンに共に行くことになる。その頃チルダンは、日本海軍の春沢提督の使者と名乗る男から「あなたが扱っている美術品は模造品だ」と告げられ面目を失い、取引相手であるキャルヴィンを問い詰める。
一方で地元の新聞社に問い合わせた結果、提督の乗艦であると聞かされていた航空母艦翔鶴は戦時中にアメリカ軍の潜水艦によって沈められており、春沢提督なる人物も存在しないことが判明する。春沢提督の使者を騙る者の正体はフランクであり、友人のマッカーシーと組み、元上司で模造品の元締めのウインダム=マトスンから退職金を巻き上げる。
同じ頃、ドイツでは最高指導者のボルマン首相が死去したことでナチ党内部の権力闘争が激化し、アメリカにも影響が及び始める。

一方、フランクとマッカーシーは、ウインダム=マトスンから巻き上げた退職金でエドフランク宝飾工房を起業し、自身の腕を活かした装身具を作り、その装身具をチルダンに売り付けようとするが、チルダンに言い包められ委託取引にされてしまう。
装身具を手にしたチルダンは、それまで扱ってきた過去の遺物である骨董品とは違うアメリカの「未来」の姿を感じ、アメリカ人としての自信を取り戻す。
その頃、日本軍の手崎将軍から連絡を受けた田上は、バイネスをオフィスに呼び三者会談を行う。会談の中で、バイネスは自分がドイツ国防軍情報部のヴェゲナー大尉であることを明かし、ボルマン政権と、その後を継いだゲッベルス政権が対日核攻撃作戦「タンポポ(レーヴェンツァーン)作戦」を計画していることを語り、計画を阻止するため作戦反対派のハイドリヒに助力して欲しいと告げる。
その時、バイネスの正体を掴んだ保安警察のメーレ将軍が送り込んだ工作員が現れ銃撃戦となるが、田上が工作員を射殺し事態を収束させる。手崎将軍は対応を協議するため日本に帰国し、任務を果たしたヴェゲナー大尉もドイツに帰国する。
ゴールデンブリッジを通過する「戦艦ヤマト」

「高い城の男」に会うための旅を続けていたジュリアナとジョーはデンヴァーに到着する。しかし、そこでジュリアナは、ジョーの正体が「高い城の男」暗殺のため派遣されたナチスの工作員だと気付き、ジョーを殺害しホテルを後にする。途方に暮れたジュリアナは易経を行い、その啓示に従い、「高い城の男」に命が狙われていることを知らせるためにシャイアンに向かう。
翌日、「高い城の男」ことホーソーン・アベンゼンの邸宅に到着したジュリアナは、ナチスの工作員が迫っていることを告げると同時に、何故『イナゴ身重く横たわる』を執筆したのかを尋ねる。ジュリアナの問いに対し、アベンゼンは「易経との契約に基づき書いた」と告白する。
ジュリアナは、何故易経が『イナゴ身重く横たわる』を書かせたのかを知るため易経を行い、「真理」の答えを得る。ジュリアナは、『イナゴ身重く横たわる』の世界こそが真実の世界であると知り、アベンゼンに礼を言い邸宅を後にした。

