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危険予知トレーニング


介護施設でできる危険予知トレーニング(KYT)|事例や進め方



介護の現場において、利用者様の安全を守るためにも重要な役割を果たす危険予知トレーニング。介護施設で働く職員は危険予知トレーニングを通して、事故防止に向けたさまざまな知識を身につけておく必要があります。今回は、介護施設でできる危険予知トレーニングの進め方や注意点などについて解説します。 

介護施設における危険予知トレーニング(KYT)とは?

危険予知トレーニングとは、職場に潜む危険要因や、事故を防ぐための対策などについて話し合う活動のことを指します。

「危険(K)予知(Y)トレーニング(T)」の頭文字を取って、「KYT」とも呼ばれており、介護業界・保育業界・医療業界・工事現場・工場などのさまざまな場面で行われています。

その中でも、介護現場で行う危険予知トレーニングは、利用者様の安全を守るためにも非常に重要な取り組みです。

トレーニングをすることで、施設で起こりうる事故や怪我などのトラブルを未然に防げるようになります。

●介護施設で起こる事故の原因

介護施設で起こる事故の主な原因は、以下の2つに分類されると考えられます。

●ヒューマンエラー:不注意によるうっかりミス、聞き間違い、見間違い、勘違いなど

●リスクテイキング:仕事に慣れてきたことにより油断したり、労力を減らすために確認作業を怠るなど、あえて危険な行動を取ること

事故を未然に防ぐためには、事故を引き起こす原因についてあらかじめ知っておく必要があります。

危険予知トレーニングを通して、このような心理状況について理解を深めることで、事故の危険を回避するための心がけや習慣を身につけることができます。

介護施設で危険予知トレーニングを行う目的

介護施設で危険予知トレーニングを行う目的について解説します。

●施設での介護事故防止

介護施設にはさまざまな事故の危険が潜んでいます。

そのため、危険予知トレーニングを行うことで、事故につながりかねないあらゆる危険要因について知っておく必要があります。

事故の要因を知っておくことで、前もって危険を予測し、危険を避けるための行動を取ることができるでしょう。

●職員の安全意識の向上

安全な職場環境を保つためには、職員の安全意識を高めることが非常に重要です。

施設に潜むさまざまなリスクを職員間で共有し、事故を起こさないための行動を職員全員で実行できるようにしましょう。

事故が起こってしまうと、利用者様の身に危険が及ぶだけでなく、施設へのクレームにつながったり、職員にも精神的なダメージを与えたりする可能性があります。

職員の安全意識を高め、事故を起こさないことで、利用者様と職員の双方にとって過ごしやすい環境を作ることができます。

【KYT基礎4R法】介護施設の危険予知トレーニングの進め方

介護施設で危険予知トレーニングを行う際の進め方について解説します。

今回は、危険予知トレーニングを行う方法として代表的な「KYT基礎4R法」について、流れや注意点を説明します。

1ラウンド 現状を把握する
2ラウンド 本質を追究する
3ラウンド 対策を立てる
4ラウンド 目標を設定する

 

●1ラウンド:現状を把握する

複数人のチームに分かれて、危険予知トレーニング用のイラストや画像の中に潜む危険について話し合います。このときに、事故になりうる理由と、それによって起こる事故の結果を挙げていくようにします。

少しでも事故につながる可能性があると考えられるものは全て挙げて、できるだけ多くの危険要因を見つけられるようにしましょう。

<介護現場でよくある危険要因の例>

●床に物が落ちている

●床が濡れている

●通路に手すりが設置されていない

●利用者様から目を離す

●手の届くところにものが置いてある

●車いすのブレーキがかかっていない

●火をつけたままコンロから離れる
 

●2ラウンド:本質を追究する

1ラウンドで挙げた危険要因の中から、特に危険な部分を見つけ出し、丸印やアンダーラインなどで印をつけます。

印をつけることで、一目見ただけで重要な箇所が分かるようになり、職員全員で意識づけがしやすくなります。

印をつけ終わったら、印をつけた箇所を指さしながら声に出して読みあげる「指差し唱和」をしましょう。

話し合いの際は、チームのメンバー全員が納得できるように意見を交換しながら進めていくことが大切です。

<危険要因の指差し唱和をする際の例>

●「床が濡れているので、転倒につながる、ヨシ!」

●「手の届くところに物を置いている、誤飲の可能性がある、ヨシ!」

●「車いすのブレーキがかかっていない、転落の恐れがある、ヨシ!」
 

●3ラウンド:対策を立てる

2ラウンドで見つけ出した箇所について、どうすれば危険を回避できるのか話し合います。

危険をなくすためにできる対策はすべて挙げられるよう、些細なことでも積極的に発言することが重要です。

このとき、対策の内容を具体的に挙げるようにすることで、職員間で気をつけるべき行動がより明確になります。

チーム内で出た意見はホワイトボードや模造紙などに書き出し、全員で共有できるようにしましょう。

<解決に向けた対策の例>

●床を汚したらすぐに拭き取る

●出したものはすぐに片づける

●床や机にものを置かない

●車いすのブレーキを必ず確認する

●火を使う際は火元から離れない
 

●4ラウンド:行動目標を設定する

3ラウンドで出た対策の中から、最も重要なものを行動目標として設定し、印をつけたりアンダーラインを引いたりします。

選ぶときは、「必ず行うべきもの」や「職員全員が取り組むべきもの」というように考えると決めやすいです。

チームで決めた内容を、全員が実施することを目標として、改めて指差し唱和を行います。

 

<行動目標の指差し唱和をする際の例>

●「床を汚したらすぐに拭き取り、転倒を防ぐ、ヨシ!」

●「ものを出したらすぐに片づけ、誤飲を防ぐ、ヨシ!」

●「ブレーキがかかっているかを必ず確認し、車いすからの転落を防ぐ、ヨシ!」

 

介護施設で危険予知トレーニングを行う際の注意点

介護施設で危険予知トレーニングを行う際に注意すべき点について解説します。

●積極的に意見を出し合う

危険予知トレーニングは、一部の職員だけが参加すればよいというものではありません。

施設の職員全員が参加し、全員が意見を発言できる機会が必要です。

職員の発言により、新たな発見があったり、認識の相違などに気づけたりすることもあるでしょう。

チーム内で発言できていない職員がいる場合は、チームのリーダーが発言の機会を与えられるように話を振るなどの工夫をします。

職員全員が関心を持って危険予知トレーニングに参加することで、より安全に対する意識が深まり、事故を起こさない環境を作ることができます。

●設定した行動目標を必ず実践する

危険予知トレーニングの中で設定した行動目標は、常に全員が実行できている状態でなければなりません。

目標を設定して満足するのではなく、業務中は常に行動目標を念頭に置き、いかなるときでも実行できるようにしましょう。

そのため、設定する行動目標は現実的に全員が守れる範囲のものにするのがおすすめです。

設定した行動目標は、次第に職員の中で習慣的に行われるようになり、最終的には意識していなくても常に守れているという状態になることが理想です。

●行動目標を常に改善していく

危険予知トレーニングは、定期的に開催しながら内容を常に改善していく必要があります。

何度もトレーニングを繰り返すことで、職員の安全への意識を高めることができ、より充実した内容の話し合いができるでしょう。

また、あらゆるリスクについて情報共有を重ねることで、事前に危険を予測して行動するスキルも身につけられるようになります。
 

まとめ|危険予知トレーニングが「形だけ」になっていませんか?

今回は、介護施設における危険予知トレーニングについて解説しました。

利用者様の安全を守るためには、施設全体で事故防止に取り組むことが欠かせません。

そのためにも、職員一人ひとりが安全への意識を高め、事故を未然に防ぐ行動や対策を考える機会を大切にしましょう。

また、「十分な研修時間が取れない」「マニュアルが更新されない」とお悩みの方も少なくないのではないでしょうか。

それは個人の問題ではなく、職場環境の問題かもしれません。

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