2025.3.13
フジテレビ問題 その3
あまり話題に上りませんが、現代日本で企業が重視するのは株主(オーナー)です。従業員の福利厚生や給与などより株主への配当を優先します。外国人投資家が日本株を買うようになり、企業行動が変化。四半期ごとの短期的利益が絶対となりました。
これは欧米の資本主義によるもので、それを見直す動きが、日本人実業者から広まっています。日本初の新経済論「公益資本主義」という考え方です。
「公益」資本主義

公益資本主義を主張される、原丈人氏についての文芸春秋の記事からです。
四半期決算を廃止せよ!長期保有株主を優遇せよ!日本が新しい経済ルールを作る!日本が率先して、新しい資本主義を世界に示すべきだ。
確信をもって断言されるのは、社会主義者でも国粋主義者でもなく、米国シリコンバレーで成功をおさめてきた「最強のベンチャー事業投資家」。
株主優先、四半期決算、時価会計、社外取締役制度など「会社は株主のもの」とみなす「米国流の株主資本主義」の導入が「改革」と呼ばれていますが、むしろ弊害を生んでいます。「企業ガバナンスの優等生」と称された東芝の惨状がその証です。「会社は株主のもの」という考えでは、投資や経営が、短期利益重視となり、新技術開発に回すべき中長期資金、真にリスクをとる投資が不足します。税制や金融のルールを改める事で、マネーゲームに回っている資金を中長期的投資へと導くことこそ、「公益資本主義」が目指す「成長戦略」です。
実は、中長期経営を重視する日本型経営こそ、「公益資本主義」の雛形です。米国を反面教師にし、今こそ日本が新しい資本主義のルールを示すべきなのです。
上がらない従業員給与
バブル崩壊後、従業員の収入は減少しています。新卒から60歳までの年収は、22歳の年収を100とした60歳の年収は、1985年は373、バブル崩壊後の1995年328、1999年には264と縮小傾向。これは現在も継続中。生涯年収も1997年をピークに崩落後、現在までほぼ横ばいが続いています。
上がる株主配当額
2000年代に入りITバブルなどがありましが、社員給与は一向に増えません。1990年代後半の持ち合い株解消から起こった、「物言う株主」と呼ばれる外国人投資家による日本株保有。彼らは株主総会で、利益から見た配当の低さに加え、資産を売却し配当に回す要求を経営陣に突き付けた。その結果、経営陣は社員(給与)より株主(配当)を重視した利益配当を始める。
2004年頃から配当総額は上昇し始め、2015年には6兆円を突破。バブル期1980年代と比べると、その規模は約10倍となりました。
原丈人氏「公益資本主義」
物言う株主として、アメリカ投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」がフジテレビに書簡を3度送付、話題となりました。「ダルトン・インベストメンツ」のフジ・メディアHD持ち株比率は5.83%です。投資ファンドの書簡内容は、日本中のメディアで公表され全株主の意見かのように取り扱われています。
実際株主は他に94%以上いるにもかかわらず、5%の株主が、企業の方針に大きな影響を与えているのが、欧米式資本主義の現実。「物言う株主」といわれる外国人投資家の言うがままとも見れます。
それに異を唱えるのが、日本式資本主義「公益資本主義」。5%の物言う株主に左右されてはいけない。企業を社会的存在と捉え、株主だけではなく、社員とその家族・顧客・取引先・地域社会など企業を取り巻く利害関係者全体への貢献(利益)を重視し行動しなければならないとします。
公益資本主義推進協議会
日本発祥の「公益資本主義」を全国に広めようとする団体があります。「公益資本主義推進協議会」(PICC)です。PICC(Public Interest Capitalism Council)とは、公益資本主義を広め、世の中を変えるためのきっかけを作る活動をする協議会。公益資本主義とは、米国型の資本主義でも中国型の資本主義でもない第三の道を指し、原丈人が著書『21世紀の国富論』や自身が設立したアライアンス・フォーラム財団にて提唱している概念。企業を社会的存在ととらえ、株主の利益のみを優先するのではなく、ステークホルダー全体への貢献(利益)を重視する資本主義。
限界が見えてきた現在の資本主義に代わる新しい日本初の資本主義を世界に発信し、地球益に貢献する。