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日本と中国の戦争は始まっている

少し前になりますが、既に日本と中国の戦争は始まっているという意見もあるので紹介します。

中国が仕掛ける「ハイブリッド戦争」に、日本が抵抗できない理由

中野剛志: 評論家
予測・分析変異する資本主義
2025年11月27日 

11月16日、米中首脳会談がオンラインで行われたが、アメリカと中国との対立が緩和へと向かう気配は未だない。むしろ、「対立が顕在化」したと見る向きが多い。戦後70年以上にわたって、我々日本人の多くは「戦争の可能性」を真剣に考えてこなかったが、いよいよそれでは済まされなくなっている。ただし、その大前提として、絶対に押さえておくべきポイントがある。それは「現代の戦争」は「20世紀型の戦争」とは根本的に異なるということだ。どういうことか? 最新刊『変異する資本主義』(ダイヤモンド社)で「現代の戦争」を深く検証した中野剛志氏が解説する。

中国が仕掛ける「ハイブリッド戦争」に、日本が抵抗できない理由

「平和」と「戦争」の境界をなくす“恐るべき戦略”
11月16日、米中首脳会談がオンラインで行われたが、アメリカと中国との対立が緩和へと向かう気配は未だない。アメリカ及びその同盟諸国と中国との間で、戦争が起きるのではないかという懸念もある。

我が国は、「平和惚け」と揶揄されるように、戦後、80年にわたって、戦争の可能性について真剣に考えてはこなかった。しかし、いよいよ、それでは済まされなくなってきたのだ。

ところで、21世紀の戦争の形態は「ハイブリッド戦」であると言われている。

「ハイブリッド戦」とは、誰が戦うかや、どんな技術を用いるかといった形態の境界をなくし、正規軍のみならず、非正規軍、無差別テロ、犯罪など、多様な手法を複合的に用いるような、多面的な姿をした戦争のことを指す。

要するに、今日の戦争は、もはや正規軍同士の武力行使には限られなくなったということである。20世紀における戦争のイメージとは違うのである。

実は、この「ハイブリッド戦」を最も得意とするのが、中国なのだ。

そもそも、中国のハイブリッド戦は、古くは孫子に起源をもつ中国固有の伝統であり、特に毛沢東の戦略思想に基づくものであった。

毛沢東とその同志たちは、1920年代から40年代にかけて、列強との全面戦争を引き起こすことなく勝利するための戦略を研究した。その結果、西洋において「平和」とされる状態と「戦争」とされる状態の間を利用するという戦略が有効であるという結論に至ったのである。

それは、「平和」と「戦争」の境界を無くすという、まさにハイブリッド戦であった。

中国は、この毛沢東のハイブリッド戦の戦略思想を受け継いでいる。そのように見ると、中国の特異な行動の意味が、よく理解できるであろう。

例えば、中国は、アメリカとその同盟国との戦いにおいて、平時と戦時の区別をしない。だから、平時において、情報戦、サイバー攻撃、知的財産権の窃取など、様々な手段による圧力や制裁、法的・準法的措置などを継続的に実施しているのだ。

また、中国のハイブリッド戦は、間接的であり、じわじわと漸進的に遂行され、準軍事組織や民間組織を広範に活用する傾向にある。さらに、敵にとっては必ずしも重要ではない地点や辺境地帯から始まるという特徴もある。今日、その典型が、尖閣諸島や南沙諸島に対する中国の執拗な行動にみられる。

これらの特徴は、明らかに、毛沢東の戦略思想を反映している。

毛沢東のゲリラ戦は、地方の占拠から始まり、次第に町そして都市へと漸進的に拡大するものだった。これは、都市部など戦略的に重要な拠点から占拠するという西洋の戦略思想とは正反対の発想である。

さらに、中国のハイブリッド戦は、長期間にわたって忍耐強く遂行され、決定的な敗北を避けつつ慎重に進められる。これもまた、短期決戦によって、決定的な勝利を得ようとする西洋の戦略思想とは対照的である。

狙われている日米安保の「死角」
このような特異な性格を持つ中国のハイブリッド戦に対して、アメリカやその同盟諸国は、うまく対応できていない。

というのも、アメリカとその同盟諸国は、戦時と平時を峻別し、武力を行使して行うもののみを「戦争」とみなし、戦争というものは可能な限り短く終わらせたいと考えがちだ。しかも、中国のハイブリッド戦に対抗するという明確な戦略を持ち合わせておらず、そのための手段も乏しい。

それゆえ、アメリカとその同盟諸国は、中国のハイブリッド戦による攻撃を受けても、それを「平時」とみなして見逃してしまう。ゆえに、対抗措置も後手に回りがちになる。実際、アメリカは、2010年代の半ばまで、中国の台頭は平和的なものだと信じ、中国の軍事大国化を看過していた。

さらに、中国は、ハイブリッド戦の一環として、アメリカとその同盟諸国の経済界や、マス・メディア、あるいは政治家たちが、中国との関係を悪化させるのを恐れるように仕向けている。

特に、経済界は、中国市場に対して多額の輸出や投資を行って、莫大な利益を得ているため、中国との関係を良好に保つよう、自国の政治に強く働きかけるであろう。要するに、中国は、その巨大な市場を、アメリカに勝利するためのハイブリッド戦の武器としているのだ。

この中国のハイブリッド戦による攻撃をほぼ日常的に受けているのが、日本である。それが端的に現れているのが、尖閣諸島にほかならない。

2012年9月11日に日本が尖閣諸島の魚釣島など三島を国有化して以降、中国公船は、ほぼ毎日接続水域に入域するようになり、領海侵入も頻繁に発生している。

また、2018年7月、中国海警局が人民武装警察部隊に編入・増強され、2021年1月には、海警局の武器使用を認める法整備が行われた。中国は、海警局という、非軍事組織を利用するハイブリッド戦を日本に対して仕掛けているのだ。

これに対して、日本は、アメリカに対し、日米安全保障条約が尖閣諸島に対しても適用されるという確認を再三求めてきた。

だが、そもそも、日米安保条約は、ハイブリッド戦に対応できるようになっていないのである。

日米安保条約は、第五条において「各締約国は、日本国の施政下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」と規定している。

しかし、「武力」攻撃であるか否か曖昧なハイブリッド戦に対しては、日米安保条約が適用されるか定かではない。また、「日本国の施政下にある領域」とあることから、尖閣諸島が中国の占拠によって日本の施政下にあるとは言えなくなった場合にも、適用されない可能性がある。

このため、平時と戦時を曖昧にするハイブリッド戦に対しては、日米安保条約に基づくアメリカの対応は遅れ、後手に回るだろう。それこそが、中国の狙いなのである。

要するに、我が国がその安全保障の要とする日米安保条約とは、前世紀の戦争を前提としており、21世紀のハイブリッド戦には通用しない代物だということだ。

さらに根本的な問題がある。

ハイブリッド戦には、平時と戦時の区別はない。そのハイブリッド戦を中国は遂行している。ということは、中国にとって、今は、すでに戦時中だということだ。

これに対して、我が国は、未だ「平時」にあると思い込んでいるのである。
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