2025.4.16
保護貿易とは?
2025年4月4日米国トランプ大統領は、4月9日13時に日本の全ての輸入品に対し24%の関税を課すと発表しました。また4月10日、対抗措置を取らない国に対しては90日間停止し、中国に対しては関税を145%とすると発表。中国だけ停止しないのは台頭する中国を抑える目的があるかも知れません。中国も米国に対する関税を125%にアップし11日から実施しています。
関税とは輸入を規制するための税制措置で、保護貿易を促進するための政策です。保護貿易とは何でしょう?
米国が進める保護貿易

保護貿易とは ?
保護貿易とは、国際競争から自国の産業を守るために、関税や輸入量規制などの措置を利用して外国製品の輸入を制限する政策です。これにより、国内産業の発展や雇用の安定が図られます。産業保護の理由は、自国の経済成長や技術革新を促進し、市場シェアを維持するためです。また米国国債残高は2024度末日本円で4242兆円(1ドル150.57円で計算)、10年後2034年度末には7628兆円に達すると見られます。税収増加による債務削減が米国のねらいです。
しかし、保護貿易には消費者や他国への影響があります。関税が高くなることで、輸入品の価格が上昇し、消費者の支出が増加します。また、EU、中国はじめ多くの国が対抗措置をとると表明していて、将来不安から株価暴落が始まっています。
自国産業を守る

自国産業を守る
保護主義政策の基本理念は、自国産業が国際競争にさらされるリスクを低減し、国内の雇用と経済成長を確保することです。特に、新興国の急速な経済成長により、安価な輸入品が市場に流入すると、国内産業は価格競争で不利な立場に立たされることがあります。
国民経済全体の独立性を強化し、国際的な経済変動に対する耐性を高める効果も期待されます。これにより、長期的な国家戦略としての意義を持つことも特徴の一つです。
歴史を知る

保護貿易の歴史
保護主義が始まったのは、17世紀の重商主義時代で、国家間の経済力を強化する目的で行われました。産業革命以降、保護貿易は継続的に発展し、経済の成長や技術革新が進む中で、世界各国が保護貿易政策を積極的に利用していたのです。
産業革命時代の保護貿易
産業革命時代は、保護貿易が経済成長を促進する手段として広く用いられていました。特に、イギリスやアメリカで産業革命が進行する中で、新興産業の競争力向上や雇用創出のために保護政策が打ち出されました。
しかし、保護貿易が国際政治や経済に様々な影響を与え、国際競争や緊張関係の拡大を招くこともありました。産業革命時代の保護貿易は、世界経済の動きを形作る重要な戦術であった一方、その利益とリスクを十分に考慮する必要があったと言えるでしょう。
保護貿易政策と世界恐慌
保護貿易は、世界恐慌時代にも国際経済の舞台で重要な役割を果たしました。世界恐慌は、1929年にアメリカで始まり、世界各国に波及した大規模な経済危機であり、多くの国々が失業対策や国内産業の保護を目指して保護貿易政策を採用しました。
具体的には、関税の引き上げや輸入制限を実施することで、自国産業を守ろうとしました。しかし、保護貿易が経済危機の悪化を招き、国際間の貿易が縮小する結果となりました。このことが、全体の雇用と経済成長を阻害し、世界恐慌の深刻化を助長しました。
株価暴落の現実

国際関係における保護貿易の役割
保護貿易は国際関係において重要な役割を果たしています。
まず、国内産業の保護があります。関税や輸入制限を設けることで、外国製品に対する競争力が強化され、国内産業の発展が促進されます。例えば、日本の自動車産業はこの保護措置によって成長し、経済に大きな貢献をしています。
さらに、経済の安定も保護貿易の目的の一つです。雇用の安定や生産の維持、市場のバランスを保つために役立ちます。しかし、現実的には関税引き上げ発表後、米国内だけでなく世界市場の全面株安を引き起こしています。
国家間の争いが起こる

自由貿易と保護貿易の競合
自由貿易と保護貿易は、国家間の利益を巡る競争においてしばしば対立する立場に立ち、それぞれの政策が異なる目的を持ちます。そこで、地球規模での課題解決や市場開放に向けた取り組みを通じて、自由貿易と保護貿易のバランスを取ることが求められます。
米国が保護貿易を選択したことで、米国とそれ以外の国との貿易対立が始まっています。1929年の米国株式市場の大暴落を皮切りに、ブロック経済(保護貿易)が始まりました。さらに世界大恐慌となり、第二次世界大戦を引き起こしました。
人類は学習しているから、同じ轍を踏まないと言われます。しかし、人類はおろかだから同じ過ちを繰り返すとも言います。米国の関税強化が第三次世界大戦のトリガー(引き金)とならないことを祈ります。
結局自国民の負担が増える
米国が輸入品に対する関税を大幅引き上げていますが、関税は基本的には価格に転嫁されます。値上がり分を負担するのは購入者である自国民であり、米国内のインフレにより貧しい市民が被害を受けると思われます。相互関税が実施されると、米国内の混乱は拡大するでしょう。
iPhoneなどのスマートフォン、パソコンなどには125%の相互関税は付加しないとトランプ大統領は表明しました。iPhoneなどの組み立ては中国で行っていて、保護関税により販売価格が2倍になる為です。関税をかけるのはその商品、製品に競争力が無いからで、米国は日本がコメに700%関税を課されていると主張しています。実際は1キロ341円の従量税で、日本国内のコメは1キロ650円前後で販売されていますので、販売価格で計算すると91%となり、700%には程遠い数値。確かに日本の農産物は海外と比べると割高で国際競争力が弱いです。
日本は農家を保護する為、高い関税や農家への助成金などを実施しています。トランプ関税を批判出来ないのは日本国内の事情があるからです。世界GDPの25%を占める米国が、高い関税で保護貿易を始めると世界経済に多大な影響を及ぼします。対立している中国も世界GDPの18%を占め、2国で世界の約半分。しばらく世界の混乱は避けられないと思われます。
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関税とは輸入を規制するための税制措置で、保護貿易を促進するための政策です。保護貿易とは何でしょう?
米国が進める保護貿易

保護貿易とは ?
保護貿易とは、国際競争から自国の産業を守るために、関税や輸入量規制などの措置を利用して外国製品の輸入を制限する政策です。これにより、国内産業の発展や雇用の安定が図られます。産業保護の理由は、自国の経済成長や技術革新を促進し、市場シェアを維持するためです。また米国国債残高は2024度末日本円で4242兆円(1ドル150.57円で計算)、10年後2034年度末には7628兆円に達すると見られます。税収増加による債務削減が米国のねらいです。
しかし、保護貿易には消費者や他国への影響があります。関税が高くなることで、輸入品の価格が上昇し、消費者の支出が増加します。また、EU、中国はじめ多くの国が対抗措置をとると表明していて、将来不安から株価暴落が始まっています。
自国産業を守る

自国産業を守る
保護主義政策の基本理念は、自国産業が国際競争にさらされるリスクを低減し、国内の雇用と経済成長を確保することです。特に、新興国の急速な経済成長により、安価な輸入品が市場に流入すると、国内産業は価格競争で不利な立場に立たされることがあります。
国民経済全体の独立性を強化し、国際的な経済変動に対する耐性を高める効果も期待されます。これにより、長期的な国家戦略としての意義を持つことも特徴の一つです。
歴史を知る

保護貿易の歴史
保護主義が始まったのは、17世紀の重商主義時代で、国家間の経済力を強化する目的で行われました。産業革命以降、保護貿易は継続的に発展し、経済の成長や技術革新が進む中で、世界各国が保護貿易政策を積極的に利用していたのです。
産業革命時代の保護貿易
産業革命時代は、保護貿易が経済成長を促進する手段として広く用いられていました。特に、イギリスやアメリカで産業革命が進行する中で、新興産業の競争力向上や雇用創出のために保護政策が打ち出されました。
しかし、保護貿易が国際政治や経済に様々な影響を与え、国際競争や緊張関係の拡大を招くこともありました。産業革命時代の保護貿易は、世界経済の動きを形作る重要な戦術であった一方、その利益とリスクを十分に考慮する必要があったと言えるでしょう。
保護貿易政策と世界恐慌
保護貿易は、世界恐慌時代にも国際経済の舞台で重要な役割を果たしました。世界恐慌は、1929年にアメリカで始まり、世界各国に波及した大規模な経済危機であり、多くの国々が失業対策や国内産業の保護を目指して保護貿易政策を採用しました。
具体的には、関税の引き上げや輸入制限を実施することで、自国産業を守ろうとしました。しかし、保護貿易が経済危機の悪化を招き、国際間の貿易が縮小する結果となりました。このことが、全体の雇用と経済成長を阻害し、世界恐慌の深刻化を助長しました。
株価暴落の現実

国際関係における保護貿易の役割
保護貿易は国際関係において重要な役割を果たしています。
まず、国内産業の保護があります。関税や輸入制限を設けることで、外国製品に対する競争力が強化され、国内産業の発展が促進されます。例えば、日本の自動車産業はこの保護措置によって成長し、経済に大きな貢献をしています。
さらに、経済の安定も保護貿易の目的の一つです。雇用の安定や生産の維持、市場のバランスを保つために役立ちます。しかし、現実的には関税引き上げ発表後、米国内だけでなく世界市場の全面株安を引き起こしています。
国家間の争いが起こる

自由貿易と保護貿易の競合
自由貿易と保護貿易は、国家間の利益を巡る競争においてしばしば対立する立場に立ち、それぞれの政策が異なる目的を持ちます。そこで、地球規模での課題解決や市場開放に向けた取り組みを通じて、自由貿易と保護貿易のバランスを取ることが求められます。
米国が保護貿易を選択したことで、米国とそれ以外の国との貿易対立が始まっています。1929年の米国株式市場の大暴落を皮切りに、ブロック経済(保護貿易)が始まりました。さらに世界大恐慌となり、第二次世界大戦を引き起こしました。
人類は学習しているから、同じ轍を踏まないと言われます。しかし、人類はおろかだから同じ過ちを繰り返すとも言います。米国の関税強化が第三次世界大戦のトリガー(引き金)とならないことを祈ります。
結局自国民の負担が増える
米国が輸入品に対する関税を大幅引き上げていますが、関税は基本的には価格に転嫁されます。値上がり分を負担するのは購入者である自国民であり、米国内のインフレにより貧しい市民が被害を受けると思われます。相互関税が実施されると、米国内の混乱は拡大するでしょう。
iPhoneなどのスマートフォン、パソコンなどには125%の相互関税は付加しないとトランプ大統領は表明しました。iPhoneなどの組み立ては中国で行っていて、保護関税により販売価格が2倍になる為です。関税をかけるのはその商品、製品に競争力が無いからで、米国は日本がコメに700%関税を課されていると主張しています。実際は1キロ341円の従量税で、日本国内のコメは1キロ650円前後で販売されていますので、販売価格で計算すると91%となり、700%には程遠い数値。確かに日本の農産物は海外と比べると割高で国際競争力が弱いです。
日本は農家を保護する為、高い関税や農家への助成金などを実施しています。トランプ関税を批判出来ないのは日本国内の事情があるからです。世界GDPの25%を占める米国が、高い関税で保護貿易を始めると世界経済に多大な影響を及ぼします。対立している中国も世界GDPの18%を占め、2国で世界の約半分。しばらく世界の混乱は避けられないと思われます。