2025.4.24
感染症予防
(介護アンテナより)
介護現場における感染症予防の基本(スタンダードプリコーション)
介護現場における手洗い、うがい、手袋の着脱、マスクの付け方など正しい感染症予防対策(スタンダードプリコーション)について詳しく解説します。介護職の方は施設やご自宅でご利用者、自分や同僚を守るためスタンダードプリコーションを徹底しましょう。

感染症とは
細菌やウイルスといった「病原体」が身体に侵入して繁殖して起こる病気をいいます。病原体の病気を起こそうとする力(病原性・毒性)が、人の抵抗力(免疫力)より強くなった場合に起こります。
なお、病原体が身体に侵入する経路を「感染経路」、病原体が侵入した場合、繁殖する可能性がある人を「感受性宿主」といい、「病原体」とあわせて、『感染症成立の3大要因』と言われています。

主な感染経路
よく知られている感染経路は次の6つです。
・接触感染
・飛沫感染
・空気感染
・経口感染
・血液感染
・ベクター(媒介者)感染

接触感染
・皮膚や粘膜の接触、または介助者の手などを介して感染
・手すりやスイッチ、家具など周囲の物体を通しての病原体が間接的接触で感染
例:MRSA、疥癬、水虫、ノロウイルス、緑膿菌など
飛沫感染
・ 咳やくしゃみ、会話などで、飛沫粒子により感染 ※1m以内に床に落下し、空中を浮遊し続けることはない。
例:インフルエンザ、レジオネラ症、マイコプラズマ、溶連菌性咽頭炎、風疹、百日咳など
空気感染
・咳やくしゃみなどの飛沫の水分が蒸発し、残った飛沫核という小さな粒子を吸引することによって感染
例:結核、はしか、水疱瘡など
経口感染
・感染された食品を経口摂取で感染
例:ノロウイルス、O157、食中毒、サルモネラ、ロタウイルスなど
血液感染
・病原体に汚染された血液が、傷口や粘膜に触れて感染(針刺し事故、感染者の外相手当の際など)
例:HIV、B型肝炎、C型肝炎
ベクター(媒介者)感染
蚊やネズミなどが媒介して感染
例:蚊(日本脳炎/マラリア)、シラミ(発疹チフス)、ハエ(O157/赤痢)、鳥(鳥インフルエンザ)
介護現場における感染症対策の考え方
感染症を成立させないためには、感染経路を遮断する・感受性宿主の免疫力を高めるという2つの大きな対策が考えられます。
感染経路を遮断する
介護サービスのご利用者の多くは介護状態にあり、複数の病気を患っている高齢者です。中には寝たきりになり免疫力が落ちている方もおり、感染症の発症はとても怖いものです。
しかし、介護施設などは集団生活の場で多くの方が出入りするため、感染症の発生しやすい環境となります。介護職は感染症を発生させないために感染症対策の徹底が求められます。
残念ながら感染症が発生した場合は、拡大させないことが最も重要になります。併せて発症者の介護も丁寧に行わなければなりません。
「感染経路」を知り、それを遮断するための具体的な行動ができるように、感染症について学び、症状やどのような感染経路があるのかを知ることが大切になります。
感染症を発生させないために実施すること
基本的な感染症予防対策
・スタンダードプリコーション ※後述
・換気・掃除などの環境整備
感染症を拡大させないために実施すること
・早期発見・報告・対応
・拡大防止(徹底した感染予防)
・発症者の心身のケア
感染性宿主の免疫力を高める

免疫力を高めることは、決して難しいことではありません。介護職が当たり前に行っている「介護(ケア)」がご利用者の免疫力を高めます。
逆に当たり前のことが不足している状況では、たとえ若く、健康的な介護職の方であっても、免疫力は低下し、感受性宿主となる危険性が高まることを意識しましょう。
免疫力を高める介護(ケア)の徹底
・バランスの良い食事
・充分な睡眠
・清潔を保つ
・身体を動かす
・笑う
※ストレスの緩和
スタンダードプリコーション(標準感染予防策)
スタンダードプリコーションとは、感染症の有無にかかわらず、ご利用者の安全・安心のためにすべてのケアに徹底した感染対策を行い、さまざまな感染からご利用者及び自身を守ることをいいます。
スタンダードプリコーションにおいて感染物として取り扱うもの
1.分泌物(汗を除く)、排泄物(涙・唾液・鼻汁・痰・便・尿・血液・嘔吐物)
2.粘膜(瞼・口の中・肛門・胃ろうや人工肛門の挿入口裏側の粘膜)
3.健康でない皮膚(傷、褥瘡、湿疹)
スタンダードプリコーションにおいて大切なこと

・感染物として取り扱うものには素手で触れない
・手洗い、うがいの徹底
・マスク、手袋を適切に着用
介護の現場における手を洗うタイミング
介護職
・上記感染物に触れたとき
・手袋を脱いだとき
・ご利用者の食事に関わるとき(食事の準備・介助のとき)
・医療処置をされているような体調の悪いご利用者のケアをする前
・ご利用者のトイレでの排泄をお手伝いしたとき
・出社時、退社時、休憩前後(うがいも行う)
・自身の排泄後
ご利用者
・お食事、おやつの前
・外出先から施設に帰ってこられたとき
・排泄後
その他(介護施設来訪者など)
・入館時(うがいも行う)
手洗い、うがいや手袋の装着などは正しいやり方を徹底する
手洗い、うがい、手袋やマスクの装着は必ず正しい方法で実施しなければ意味がありません。ご利用者、ご自身の命を守るという視点でスタンダードプリコーションを徹底することを心がけましょう。
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介護現場における感染症予防の基本(スタンダードプリコーション)
介護現場における手洗い、うがい、手袋の着脱、マスクの付け方など正しい感染症予防対策(スタンダードプリコーション)について詳しく解説します。介護職の方は施設やご自宅でご利用者、自分や同僚を守るためスタンダードプリコーションを徹底しましょう。

感染症とは
細菌やウイルスといった「病原体」が身体に侵入して繁殖して起こる病気をいいます。病原体の病気を起こそうとする力(病原性・毒性)が、人の抵抗力(免疫力)より強くなった場合に起こります。
なお、病原体が身体に侵入する経路を「感染経路」、病原体が侵入した場合、繁殖する可能性がある人を「感受性宿主」といい、「病原体」とあわせて、『感染症成立の3大要因』と言われています。

主な感染経路
よく知られている感染経路は次の6つです。
・接触感染
・飛沫感染
・空気感染
・経口感染
・血液感染
・ベクター(媒介者)感染

接触感染
・皮膚や粘膜の接触、または介助者の手などを介して感染
・手すりやスイッチ、家具など周囲の物体を通しての病原体が間接的接触で感染
例:MRSA、疥癬、水虫、ノロウイルス、緑膿菌など
飛沫感染
・ 咳やくしゃみ、会話などで、飛沫粒子により感染 ※1m以内に床に落下し、空中を浮遊し続けることはない。
例:インフルエンザ、レジオネラ症、マイコプラズマ、溶連菌性咽頭炎、風疹、百日咳など
空気感染
・咳やくしゃみなどの飛沫の水分が蒸発し、残った飛沫核という小さな粒子を吸引することによって感染
例:結核、はしか、水疱瘡など
経口感染
・感染された食品を経口摂取で感染
例:ノロウイルス、O157、食中毒、サルモネラ、ロタウイルスなど
血液感染
・病原体に汚染された血液が、傷口や粘膜に触れて感染(針刺し事故、感染者の外相手当の際など)
例:HIV、B型肝炎、C型肝炎
ベクター(媒介者)感染
蚊やネズミなどが媒介して感染
例:蚊(日本脳炎/マラリア)、シラミ(発疹チフス)、ハエ(O157/赤痢)、鳥(鳥インフルエンザ)
介護現場における感染症対策の考え方
感染症を成立させないためには、感染経路を遮断する・感受性宿主の免疫力を高めるという2つの大きな対策が考えられます。
感染経路を遮断する
介護サービスのご利用者の多くは介護状態にあり、複数の病気を患っている高齢者です。中には寝たきりになり免疫力が落ちている方もおり、感染症の発症はとても怖いものです。
しかし、介護施設などは集団生活の場で多くの方が出入りするため、感染症の発生しやすい環境となります。介護職は感染症を発生させないために感染症対策の徹底が求められます。
残念ながら感染症が発生した場合は、拡大させないことが最も重要になります。併せて発症者の介護も丁寧に行わなければなりません。
「感染経路」を知り、それを遮断するための具体的な行動ができるように、感染症について学び、症状やどのような感染経路があるのかを知ることが大切になります。
感染症を発生させないために実施すること
基本的な感染症予防対策
・スタンダードプリコーション ※後述
・換気・掃除などの環境整備
感染症を拡大させないために実施すること
・早期発見・報告・対応
・拡大防止(徹底した感染予防)
・発症者の心身のケア
感染性宿主の免疫力を高める

免疫力を高めることは、決して難しいことではありません。介護職が当たり前に行っている「介護(ケア)」がご利用者の免疫力を高めます。
逆に当たり前のことが不足している状況では、たとえ若く、健康的な介護職の方であっても、免疫力は低下し、感受性宿主となる危険性が高まることを意識しましょう。
免疫力を高める介護(ケア)の徹底
・バランスの良い食事
・充分な睡眠
・清潔を保つ
・身体を動かす
・笑う
※ストレスの緩和
スタンダードプリコーション(標準感染予防策)
スタンダードプリコーションとは、感染症の有無にかかわらず、ご利用者の安全・安心のためにすべてのケアに徹底した感染対策を行い、さまざまな感染からご利用者及び自身を守ることをいいます。
スタンダードプリコーションにおいて感染物として取り扱うもの
1.分泌物(汗を除く)、排泄物(涙・唾液・鼻汁・痰・便・尿・血液・嘔吐物)
2.粘膜(瞼・口の中・肛門・胃ろうや人工肛門の挿入口裏側の粘膜)
3.健康でない皮膚(傷、褥瘡、湿疹)
スタンダードプリコーションにおいて大切なこと

・感染物として取り扱うものには素手で触れない
・手洗い、うがいの徹底
・マスク、手袋を適切に着用
介護の現場における手を洗うタイミング
介護職
・上記感染物に触れたとき
・手袋を脱いだとき
・ご利用者の食事に関わるとき(食事の準備・介助のとき)
・医療処置をされているような体調の悪いご利用者のケアをする前
・ご利用者のトイレでの排泄をお手伝いしたとき
・出社時、退社時、休憩前後(うがいも行う)
・自身の排泄後
ご利用者
・お食事、おやつの前
・外出先から施設に帰ってこられたとき
・排泄後
その他(介護施設来訪者など)
・入館時(うがいも行う)
手洗い、うがいや手袋の装着などは正しいやり方を徹底する
手洗い、うがい、手袋やマスクの装着は必ず正しい方法で実施しなければ意味がありません。ご利用者、ご自身の命を守るという視点でスタンダードプリコーションを徹底することを心がけましょう。